その大きな芋は私のものです。ありがとう。

Published on

スクラムやってない人がスクラムフェス金沢(6/13-14)に参加してみたレポート(のようでそうでない)記事

Authors

この記事は、2025 年 6 月 13 日(金)~ 14 日(土) に開催された、スクラムフェス金沢の参加レポート(のようでそうでない)記事です。

なぜ参加したのか

一番大きな理由は、妻(とその同僚)のプロポーザルが通り、登壇することになったからです。

「意見が出ない」 「次につながらない」を打破!みんなで創る、レトロスペクティブ

私と妻は同じ会社で働いているのですが、妻はスクラムチームで開発をしており、スクラムマスターをやっています。
一方で私がいま所属している開発チームのスタイルはスクラムではなく、また私自身過去にスクラムチームで開発をした経験もないので、"スクラム" は本で読むか妻から聞いただけの世界でした。

そんな中で、最近縁あって永和システムマネジメントさんの Agile Studio Park の見学をさせていただく機会があり、その繋がりでアジャイル開発に興味が湧いて書籍『アジャイルサムライ』を読み物として読んで面白い文章だなあと感じ、もっと勉強してみたいと思っていたことも、モチベーションのうちの一つでした。
(まさかスクラムフェス金沢で本物?のアジャイル"ザムライ"に会えるとは思ってもいなかった...。)

さらに今回は金沢開催ということもあり、福井に住んでいる身としては、ほど近い金沢でこんな大型イベントが開催されるのであれば、行くしかなかろうと思ったのもあります。

参加したセッションの一言コメント

1 日目

  • Keynote:国土強靭化とは何か? ~能登半島地震・豪雨に学ぶ~ 雄谷 良成 氏
    • 人との関わりを諦めない雄谷氏の強い想いが刺さりました。たまに映画やドラマなどでコロナ禍を思い出させるような描写がありますが、その度に「人との直接的な関わりを絶たれた」という辛い記憶が呼び起こされます。ただ、それと同時にコロナ禍があったことで半強制的にリモートワークが普及し、その結果自分は福井県にいながら東京や福岡のメンバと何の不自由を感じることもなく一緒に働けているということもあり、雄谷氏が仰っていた心の 3 ステップ「① 否認 →② 需要 →③ 感謝」、感謝の 3 ステップ「① 親切への感謝 →② 日常への感謝 →③ 逆境への感謝」の、まさに ③ の位置にいると感じました。
  • 初めてのプロダクトオーナー:エンジニア出身者が挑む、価値最大化への挑戦と学び
    • 自分はスクラムをやっていないので「エンジニア出身の PO が書いたプロダクトバックログが設計書みたいになる」といったあるあるネタに共感できなかったのは悔しかったですが、「機能追加よりも、シンプルにすることがこのプロダクトにとっては価値の高い取り組みだった」という結果には舌を巻きました。どうしてもエンジニアとしては「価値を上げる=機能を追加実装する」という脳になってしまっているので、プロダクトの性質やフェーズにより、価値が向上する施策は違うということが学びとなりました。

2 日目

  • Gold Sponsor Session  クリエーションライン株式会社
    • 『教育を AI に全振りするべきなのか?』という問いにものすごく共感しました。1 年前と今では開発スタイルが全く違っていて、ということは 1 年後はさらに変わっている、ということが容易に想像できる不確実性の大きな時代に、新入社員研修で何を教えるべきなのか、は確かに難しい。結局 AI で代替されづらい領域や、AI で仕事するようになっても変わらない価値の部分を教える、というのはアリだけれども、それぞれを定義すること自体も難しいし、新入社員は「コードを書きたい!」とたぎっているはずなので一切コードを書かせないわけにもいかないし...ということで、考えさせられるセッションでした。
  • チーム開発における責任と感謝の話
    • エンジニアはとにかく開発だけ出来ていればいい、それで満足!という開発チームが、徐々にお互い助け合い、自己組織化していくというお話で、全編通してエモいセッションでした。特に、登壇者ご自身にも「今までは他人のことなど気にしていなかったけど、最近は自分が評価されるよりもチームメンバが評価されたほうが嬉しい」という考え方の大きなシフトがあったとのことで、素敵なチームで働かれているのだなあと感じるなどしました。
  • 「実体」で築く共通認識: 開発現場のコミュニケーション最適化
    • あいまいな『言語』ではなく、『実体』でコミュニケーションしよう!という提案でした。ただ、一言で『実体』といってもその時々の状況やプロジェクトのフェーズ、受け取り手によって適切な『実体』があり、それについて例示しながら分かりやすく説明してくださいました。コミュニケーションをするうえで「受け手のコンテキストを意識する」という観点は確かに抜けがちなので、気をつけねば...。
  • 上長や社内ステークホルダーに対する解像度を上げて より良い補完関係を築く方法 / How to increase resolution and build better complementary relationships with your bosses and internal stakeholders
    • 個人的に、最近組織的に役職を賜ったばかりということもあり、刺さる話でした。上長もステークホルダーもチームメンバも、みんな自分とは異なる人間なので(当たり前か...)、外面はある程度観測できるが内面は行動などから推測するしかない。このセッションでは、『共感マップ』というツールを用いて観測しづらい他人の内面に対する解像度を上げるという取り組みを行っていました。
  • 「意見が出ない」 「次につながらない」を打破!みんなで創る、レトロスペクティブ
    • 妻とその同僚のセッションです。ほとんど写真撮影をしていたので、セッション自体は途切れ途切れで聴いてしまったのですが、自分自身もスクラムはやっていないものの振り返りはチームで実施していて(主に KPT)、確かによく発言する人としづらい人の差はあると感じているので、改めて振り返りのやり方自体を振り返ってみるのもアリだなあと感じました。デザイナーとコラボして制作したスライドもとても見やすく、ひいき目に見ても良い発表だったと思います。
  • 10 分交替のモブプロがコンテキストの共有と集中力を高める
    • アジャイル "ザムライ" さん達のセッション。10 分間交代のモブプロを実践されているということで、話を聞く前は「10 分間で何ができるんだ?」と思っていましたが、話を聞いてみると「確かに 1 コミットくらいならなんとかこなせるかもしれない...」と思い直しました。モブプロの提唱者である Chris Lucian 氏は 5 分間のモブプロを推奨しているようですが、それはさすがに... と思ったところで、普通にキーボードから HHKB(約 60%配列)に移行して、HHKB から 40%キーボードに移行したときのことをふと思い出して、同じような理屈で(?)実はいけるんだろうなと思いました。
  • 部外者から協力者へ〜短期間で信頼を獲得するために自分が実践していること〜
    • 優しい語り口も相まって、とても心に響いたセッションでした。「他人からの信頼を得る」と一言で言っても信頼の種類は多数存在し、特に 能力的信頼経験的信頼生物的信頼 という区分について伺いました。そのときどきのフェーズや相手によって自分の打ち出し方を変えて、上手に他者からの信頼を勝ち取っているとのことです。なかなか「人から信頼される方法について話す」というのは勇気のいる行動だと思いますが、それがこのような場でできるということはやっぱり、aki さんがそれだけ周りから信頼されていることの証左なのだろうなとも感じました。

そのほか、箇条書きコメント

  • お弁当おいしかった。Discord でお弁当が余っているというアナウンスがあったので本当はもう一つ食べたかったけど、理性で抑えてしまった。
  • 会社の note で書いたふくもく会の記事を読んでくれた方にお声がけいただき、お話しすることが出来た。地味に知り合い以外でブログ読んでくれた人と会ったのは初めての体験で、結構嬉しかった。
  • スポンサーで参加されていたコニカミノルタの方に「konica minolta の一眼レフカメラ(α Sweet Digital)使ってます!」と伝えられてよかった。
    • ふと以前のスクラムフェスのレポートを読むと、さらに遡って Minolta 時代のカメラのミニチュアがノベルティのときもあったことを知り、タイムスリップして当時のスクラムフェスに参加したい気持ちに。
  • 永和システムマネジメントさんのブースでいただいた AGILE PRACTICE MAP の網羅性と読みやすさがまさに教科書といった印象で、常に手元に置いていつでも読み返したい冊子だった。
  • 懇親会で突如発生した #旅する大平 投稿するノリ、楽しくてつい、過去に別用途で使っていた X のアカウントをエンジニア公開アカウントに転用することにして急遽投稿させてもらいました。大平さん、お会いしたこともないのにタグだけ使ってすみません...。
    • なんにせよずっと作ろう作ろうと思っていた X の公開アカウントがひょんなことから手に入って(?)よかった。
  • これまた懇親会で知ったプレーリーカードなる IC カード、NFC が埋め込まれていてかざすだけでプロフィールページに遷移できるという体験がかっこよすぎて、Amazon で NFC カードをぽちった。今度のイベントの時は電子名刺デビューする予定。
  • 今回はパソコンを持っていかずにタブレット(Xiaomi Pad 7)を持って行ったが、案外メモ用途では事足りたなという印象。

まとめに代えて、スクラムフェス金沢に参加して感じたこと

月並みですが、その場にいた方々(登壇者、スタッフ、一般参加者)の熱量がとても大きいと感じました。
本当にスクラムが好きな人が集まっているというか、スクラムを信じている人たちが運営し、登壇し、参加している会という印象を受けました。

登壇されていた方々のお話の内容はもちろん、セッションの間にお話しさせていただいた方々や懇親会でご一緒させていただいた方々からも、たくさんの刺激を受けました。
「妻の登壇の応援に行きがてら、ちょっとスクラムの勉強しにいこうかな」くらいの軽い気持ちで参加したのですが、会が終わりに近づくころには、参加者の熱意にほだされて「スクラム...めっちゃええやん!!」という気持ちになりました。

そして、いまのチームの開発スタイルをすぐにスクラムにするのは、タイミングやチームや事業との相性もあるのですぐ適用できるものではないですが、アジャイルの考え方やプラクティスなどを一部取り入れることは十分に可能だと感じました。
どうしても今のチームでは事業のフェーズもありスケジュール駆動かつ差し込み案件の嵐に悩まされがちなので、その辺りを上手いことコントロールできるようになるといいなあ、とぼんやり考えています。

ということで、スクラムをやっていない人がスクラムフェス金沢に参加してみたレポート(のようでそうでない?)記事でした。
初めてのスクラムフェスへの参加でしたが、全体的にかなり満足度の高い会になりました。運営メンバの皆様、登壇者の皆様、素敵な会をありがとうございました!